原鈐本(原鈐印譜)ーーー「柞慮印存」発刊 |
篆刻鑑賞のお話をしているので、印譜のことをもう少し説明しましょう。現代で私たちが接する印譜というのはほとんど印刷したものです。これに対して、実際に印泥を使い1枚1枚手作業で押捺した印箋を製本した形の印譜を原鈐本(実押本)とも言います。
もちろん印刷技術が発達していなかった時代は、これしか(厳密には、木版で作ったものもある)無かったのです。この製作は、手で実際に押すわけですから大変な手間がかかる作業です。篆刻をやられている方はお分かりでしょうが、印をきれいに「押す」のは大変な技術も必要です。それを何千と押すわけですから高価なものとなってしまいます。
下に掲載した印譜は、1985年に亡くなった篆刻の大家保多孝三先生の「柞慮印存」=原鈐本ですが、これも日展などの展覧会出品作品(必然として大きな印が多い)を主に50顆を押捺したものですが、50顆をきれいに押捺するだけでも気が遠くなるような作業です。
これは、保多孝三先生の生誕百年を記念し、今年発刊されるもので、限定50部(番号入り)で10万5千円という値段です。
なお、保多孝三先生の生誕百年を記念して、展覧会も4月19日より開催されるということです。詳細はこちらのブログ(吉永隆山の篆刻ブログ)にてご覧ください。
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