刻れない印材 |
私も篆刻家なので、「印」(書道作品に使う落款印)の制作を依頼されることがある。そういった場合の刻料(制作費というか代金)には印材代金を含むのが一般的だ。(←左私のサイト★★篆刻(てん刻)「作品とその周辺」★★よりリンク「篆刻依頼」があるので興味ある方は参照されたい)
これは依頼者(消費者)側から見るとサービスみたいな感覚で捉える方もいるのだが、篆刻家の側から言うと、自分が刻りやすい印材を使用するほうが制作しやすいということでもある。
それでも、やはり自分の気に入った印材に刻ってもらいたいという依頼者はいる。そういう中で最近もあったのだが、刻れない印材もある。寿山石系に多いのだが、ポチポチと硬い部分(鉄分の場合が多い)が点在するものだ。
上記のケースは鉄分では無く、ガラス質?(多分石英だろう)のようだが、私の超硬の印刀の刃が立たないので、少なくともモース硬度では「6」(ナイフの刃は約5.5)以上の鉱物が点在することとなる。ちなみに石英はモース硬度で「7」ということになる。
これは、まったく使えないというわけでは無く、印面構成を巧みにして、硬い部分を刻らないことで解決できる場合もある。また、その部分を刻らなければならない場合は浚いのみとし、その浚いもダイヤモンド(モース硬度「10」)ビットのルーターで行う方法もある。
しかし、「多すぎる」場合は、この方法は難しい。それでも、絶対この印材を使った自分の落款印が欲しいという場合は、印面だけを別の印材で刻り、強力接着剤で接ぐ方法もある。もちろんその場合は似たような色・模様の印材を使用する。
まあ、寿山系の石には必ず硬いところはあるので購入の際は気をつけることだ。