陶印(織部)その2 制作 |
では、陶印の制作過程を紹介する。
まず、陶芸家に印材の形(石印材と同じような長立方体)を陶土で作り、素焼きしてもらう。これは好みにもよるが、磁器(磁器=有田焼、九谷焼など)用の粘土を使ったほうが、印としては緻密に仕上がる。したがって、下記画像のように、白っぽい素焼きとして焼きあがる。色は異なるが、皆さんには植木鉢とかレンガを想像してもらうと良い。(陶器<=益子焼など>用粘土で素焼きすると、これらのように赤っぽい素焼きに仕上がるよう)
それ(素焼印材)を我々篆刻家が刻るわけだ。刻り方は、石印材と同じ印刀で、同じように刻る。下は、甲骨体朱文で「舟」、簡単な形なので、墨と朱での字入れではなく、墨で簡単に字入れし、刻っている。何分「脆い」ので、なるべく印刀を寝かせ、浅く刻って行くほうが確実。特に、角の部分には気をつけなければいけない。下は、最後の「浚い」の際に、角の部分を「欠かして」しまった。失敗作ということになるーーー
印の出来上がり具合を確認するには、印泥を使うわけには行かないので、私の場合は、スタンプを使う。下の写真の赤い部分はスタンプの赤いインクが付いたもの。これは焼成すれば無くなる。
後先は、どちらでも良いが、釉をかけた時の仕上がりを想定し、側面、上面などにも側款というか飾りの篆書、肖形印風のものを刻っておくーーこれは、軟らかいので、コツさえ覚えてしまえば、石印材より簡単。これも陶印の楽しみとなる。