方寸の世界に遊ぶ 2 印稿 |
先般、私が『篆刻のプロセスで一番楽しく、面白いのは「本印稿」作成である』と書いた。(下記参照)
http://tenkoku.iza.ne.jp/blog/entry/2252857/
その印稿の作り方には、いろいろあるようだ。私が習った範囲では、
1.半紙に書いただけのもの。(山田正平先生、保多孝三先生がこの方法だったようだ。)
下記参照=昔40年ほど前、保多先生にお手本みたいな形でいただいた印稿
吉永隆一 吉永隆印
これは、2、3として取り上げた「本印稿」を作成する流派?では、その前段階として「仮印稿」と称したりするが、山田先生、保多先生は「本印稿」のプロセスを経ず、字入れをする。
2.朱と墨で「欠け」なども含め精密に作るもの(日本の篆刻界では、この方法がオーソドックスと思う。)
壷中物
3.最近は、マジック転写法というものが発明?され、それで転写することを前提に、上記「朱と墨」印稿の朱墨を胡粉に変えたもの。聞くところによると、この形の本印稿は増えているらしい。
風過耳(2011年第63回毎日書道展出品作 本印稿)
<印稿のメモを見ると、2008年7月から、友人の意見を聞いたりし、ボチボチ印稿を「いじって」いたもの。ようやく3年後の今年刻った作品の印稿。>
かく言う私も最近は、上記作品のように「胡粉+墨」本印稿が多くなってきた。
なお、この場合「朱墨」部分を「胡粉」部分に置き換えているが、この関係が、膨張色(赤色)と縮小色(黒色)の関係で具合が良いと考える。
追補:上記今年の毎日書道展出品作「風過耳」微細に見ると、字入れと刻の段階で印稿から「変えた」点があるようだ。どちらにせよ、太く強い線を引き、動きが感じられる作品にしたかった。