篆刻の面白さ=文字学 1 |
刻って、押捺してみることが篆刻理解の第一歩ということで、「消しゴム印」→「石印(簡易な刻法)」ということでご案内してきました。
この「スタンプを刻り、押捺する」という篆刻の第一歩だけの面白さに重点を置いて、「消しゴムスタンプ」「石のハンコ」みたいな名称で模様とか似顔絵などを主なモチーフとした作品を発表、指導している方もいるようです。つまり、文字ということから離れた方向でのスタンプ(印)作りということになります。
もちろん、それも良いです。技法的には、今まで私がご案内してきたものを自分自身で「模様」「絵」に応用すれば良いでしょう。
しかし、本格的というか伝統的な篆刻には、文字(漢字)を扱うという面白さがあります。新聞を眺めていたら、「漢字の起源」を学ぶ通信教育の広告が出ていましたが、まさにこれと同じく、漢字の成り立ちなども含め勉強する楽しさもあります。下の白文印の「壽」という文字が「形声」で、意符「老」と音符「チウ=これは活字が無いのでカタカナで表記します)で成り立つ、というようなことです。この「形声」を含め、漢字構造(成り立ち)に六つの原則(約束)があります。これを六書といます。
「指事」「象形」「形声」「会意」「転注」「仮借」です。
この中で、一番わかりやすいのは「象形」でしょう。山のように「その形」そのものの字です。思いつくまま並べると、
日、月、山、川、水、人、目、口、耳、手、足、門、戸、弓、矢、刀、牛、馬、魚、犬、鳥、虫、貝
のような字があります。楷書、行書、草書では、かなり実物と異なっていますが、篆書では、見ただけで、その字の意味は判明します。
消しゴム印、石印として刻った「子」も象形ということになります。
人の子なり(象形)体内に在りては巳と曰ひ。生れて襁褓の中に在るを子と曰ふ。
★襁褓★日本ではおむつをいうが、中国では幼児をくるむ衣、また、うぶぎをいう。
「赤ちゃん」に見えますか?これが「象形」です。
<長くなりましたので、続きは次回>