では、刻ってみます。
運刀ということになります。
前回の
執刀のイラストを参照ください。復習ですが、刀の持ち方は鉛筆の持ち方と同じで、かまえとしては鉛筆と反対に管の頭を向こう側(鉛筆のかまえと反対)に傾けます。これが基本です。
あわせて下の写真をご覧ください。印刀は入手しやすい彫刻刀「平刀」を使っています。ただし、この彫刻刀を使うのは印材を
広西凍使用の場合のみにしましょう。
青田石などの場合は、硬いので刃が折れる可能性があり、危険です。石印材用の印刀を使いましょう。運刀としてはまったく同じです。

印材は左手(右利きの方の場合)でしっかりと握り込みます。印材は見やすい角度、位置で、
印刀の刃先と字入れした
印面がきちんと自分の目で確認できるところに持ちます。
執刀のイラストで目安として表示したように、印材と印刀の角度は、50度くらいが良いでしょう。もちろん、これはそれぞれの好みですので、この50度にこだわる必要はありませんが、ある程度の傾きは必要ということです。
そして、これも
執刀のイラストに書いたのですが、右(右利きの方の場合)に70~80度傾けます。これは消しゴム印の時と同様です。V字に溝を掘り込むためには、この右に傾けることも必須ということになります。
このかまえで、印刀を印面に打ち込みます。筆順などはさほど気にする必要はありませんが、字の上部から刻って行くのがよいでしょう。
上の写真が、最初の打ち込みです。印面に対して、力をいれませんと、印刀の角が刺さりません。角が刺さりましたら、このまま手前に引きます。刻らなければいけないので、
引く力が4とすると印面を押さえつける(刻る)力は6の
4:6の力配分です。引くだけですと、刻れません。引っ掻き傷みたいなものがつくだけになってしまいます。

上の写真が、1画目の片側を刻リ終えた状態です。下のイラストの1の状態(刀の動きはA)です。

白いところが刻リ取った部分ということになります。だいたい、
打ち込みの部分は細く→だんだん太く刻れると思います。あと、黒い部分が残っていますので、これも刻らなければいけません。印材を180度回転させ、持ち替え、反対側を刻ります。上図の2(刀の動きはB)になります。これも同じように刻りますと、
打ち込みの部分は細く→だんだん太く刻れると思います。これでだいたいの線は刻れたのですが、2のように、刻り残し(黒い部分)がどうしても残ってしまいます。これは3(刀の動きC,D,E)のように、短く刀を引いて浚います。
このような、運刀で黒い油性フェルトペンで字入れした黒い線を刻り取って行きます。黒い部分が残っていたら、これは刻り残しということになりますので、上の3の方法で浚って行きましょう。